日本史上最悪の熊害事件【三毛別羆事件】

実際の事件

こんばんわやよいです

今回は私の住む北海道で実際に会った熊害事件「三毛別羆事件」を紹介します

三毛別熊事件とは

北海道苫前町 | 三毛別羆事件復元地 (tomamae.lg.jp)

三毛別熊事件とは、1915年12月9日から12月14日にかけて、北海道の苫前郡苫前村三毛別で発生した熊害事件で、村に住んでいた開拓民7人が死亡、3名が重症となった日本史上最悪の事件です

 現在では事件当時の様子が復元されており、観光スポットとして開放されています

羆(ヒグマ)とは

<ドキュメンタリー>三毛別羆事件 – YouTube

 北海道に生息する「エゾヒグマ」で、その大きさは日本で生息する陸上動物としては最大を誇っている熊で、体重はオスで約120~250㎏、体長が約1.9~2.3mとされています

 事件当時のヒグマの大きさは、体重340㎏、体長は2.7mとされており、立ち上がると体長3.5mにもなる巨大なヒグマであったとされています

 ちなみにヒグマは身体能力がとても高く、

  • 獲物を追いかける時や逃げる時は時速5~60㎞で走ることができる
  • 木登りや泳ぎが得意
  • 知能も高く、人里に現れる際は体を巧みに隠す、接近する際は物音を立てない
  • 記憶力もあり、一度経験した危険な場所には近づかない、隠した獲物の場所は忘れない

とも言われています

 これほどのスペックを持っていることからも北海道最強の動物と言えるでしょう

三毛別羆事件

事件の始まり

 1915年12月9日午前11時半頃、三毛別のさらに奥に位置する六線沢と呼ばれていた集落の太田家にて当主の内縁の妻、養子の2人が窓を破って侵入したヒグマによって殺害されました

 ヒグマは内縁の妻を引きずりながら運んでおり、窓枠には運んだ際に付着したであろう頭髪が残されていたそうです

運ばれた女性の捜索

 1915年12月10日、太田家の内縁の妻がヒグマによって運ばれたことから、集落の男性ら数十人で捜索が開始されました

 付近を捜索していた捜索隊は、太田家から約150mほど離れた山中で巨大なヒグマに遭遇

 鉄砲を持ってきていた5人が発砲するも、手入れが不十分で発砲できたのはたったの1丁だけ

 ヒグマは鉄砲の音で逃走したため、付近を捜索したところ、トドマツの根本から

  • 黒い足袋を履いた膝下の脚
  • 頭部の一部

が発見されました

 その遺体は間違いなく熊によって運ばれた太田家の妻のものだったのです

再び現れたヒグマ

 遺体を発見した12月10日の夜、太田家にて二人の犠牲者の葬儀が行われていましたが

 午後8時半頃、葬儀中に大きな物音と共に巨大なヒグマが乱入

 棺桶は倒され、遺体は散乱、恐怖に駆られた会葬者達は逃げ回り会場は大混乱となります

葬儀乱入後には次の犠牲者が

 葬儀に乱入したヒグマはその後、太田家から約500mほど下流の明景宅を襲撃します

 午後8時50分頃、窓を破り侵入したヒグマは、明景宅に居合わせた村人11人中5人(胎児を含む)を殺害、3人に重症の怪我を負わせます

 襲撃されたとき、妊娠していた女性は「腹破らんでくれ!」「のど喰って殺して!」と胎児の命乞いをしますが、上半身から喰われてしまい、妊婦の腹は破かれ胎児が引きずりだされていたそうです

 残りの3人は、物陰に隠れたり、失神して倒れたり、重症者と共に何とか屋内から脱出したことで生還したのでした

討伐隊の結成

 集落から事件についての通報を受けた警察は、管轄の羽幌分署分署長に討伐隊の組織を指示、三毛別地区長宅に本部を構えました

 しかし、山林に紛れるのが上手いヒグマをすぐに発見することはできません

 ヒグマの「獲物を取り戻そうとする」という習性に目を付けた討伐隊は、これを利用しておびき寄せる作戦を思いつきます

 遺族や関係者から承諾を得て、明景宅に残された遺体を「餌」としてヒグマをおびき寄せる作戦を決行します

 しかし、ヒグマは家の寸前で中を警戒し、何かを感じ取ったのか付近を歩き回った末に山へ引き返してしまいました

ヒグマに傷を与える

 12月13日の午後8時頃、集落の橋付近を警備していた一人が、川の対岸にある切り株の数が1本多く、かすかに動いていることを発見します

 隊長の指示の下、対岸や橋から射撃したところ、怪しい影は闇に紛れて姿を消してしまいました

 翌日の12月14日、不審な影のあった場所にて足跡と血痕が発見されます

 この痕跡から討伐隊は、ヒグマは傷を負っており、遠くまでは逃げることが出来ないと判断、足跡を追うことにします

 討伐隊の中には、一行と別で行動していた猟師「山本兵吉」がいた

 この山本兵吉こそ、この事件に終止符を打った伝説の猟師なのです

遂にヒグマを討伐

 山の頂上付近まで登ると、ミズナラの大木に寄りかかる巨大なヒグマを発見

 山本兵吉は200mほど離れた場所の木に身を隠し、銃を構えヒグマに発砲します

 銃弾は心臓部に命中しましたが、ヒグマは立ち上がり、兵吉を睨みつけます

 兵吉はさらに2発目を発射、銃弾はヒグマの頭部を貫通し、ついにヒグマは絶命したのです

 6日間に渡って7人の人々を殺害したヒグマでしたが、最後はわずか2発の銃弾により命を落としたのでした

語り継がれる「熊嵐」

 討伐されたヒグマは、住民たちによって山から集落まで下ろされました

 事件当時は晴天が続いた天候でしたが、ヒグマを運搬していたところ急に天候が悪化、強烈な吹雪が一行を襲いました

 この天候急変を村人たちは「熊嵐」と呼び、語り継がれることになります

 集落に運ばれたヒグマは解剖され、胃からは人肉や衣服の一部などが発見されました

 その後、ヒグマの毛皮や頭蓋骨などは人の手を転々として、現在では行方不明となっているそうです

おしまい

エゾヒグマ - Wikipedia
エゾヒグマ – Wikipedia

今回は、北海道最強の陸上動物であるヒグマが起こした悲惨な事件「三毛別羆事件」を紹介しました

 みんなに可愛いと親しまれている熊ですが、本質は動物であり凶暴な面もあることを忘れてはいけません

 北海道は自然が多く、ヒグマも普通に生息しています

 もし熊を見かけたとしても近寄らないように注意してください

※熊の子供に遭遇して「可愛い~」などとのんきなことを言っていると子供を守ろうと怒り狂った親熊に襲撃されるということもあります

 ちなみに私は夢で巨大なヒグマに追いかけられる夢を2回見てから山が怖いです

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